相続の手続きには、相続税の申告をはじめ、土地や建物など「不動産」の名義変更などがあります。
こうした相続に関わる手続きは、相続税の申告は税理士、不動産の登記は司法書士といったように専門家に依頼するケースが多いですが、自分でもできるのでしょうか?
専門家に頼らずに手続きを行うメリット・デメリットや、注意点などを見ていきましょう。
相続の手続きとは?
相続の手続きは、亡くなった人の財産の内容によって必要な手続きは変わり、届出・手続先の機関も多種多様となります。なお、債務(マイナスの財産)も相続の対象となるので注意が必要です。
相続に関する主な手続き
- 金融機関の預貯金口座 ⇒ 各金融機関
- 株や投資信託など ⇒ 証券会社との取引がある場合、各会社の窓口
- 年金関係 ⇒ 年金事務所
- 生命保険金 ⇒ 各保険会社
- 不動産を所有している場合⇒ 法務局で登記申請手続き
- 自動車の名義変更 ⇒ 新たに所有者となる方の住所(使用の本拠)を管轄する運輸支局
- 相続税の申告・納付⇒ 税務署
- 遺言書の検認・相続放棄をする場合の裁判手続き ⇒ 家庭裁判所
- クレジットカードや携帯電話の解約 ⇒それぞれの会社の窓口
- 住宅ローンや一般のカードローンの名義変更 ⇒ それぞれの会社の窓口
- 光熱費の引き落とし先口座の変更 ⇒ それぞれの電気・ガス・水道会社の窓口
相続の手続きは自分でもできる?
相続の手続きは、自分ですることも可能です。ただ、手続き内容が多岐にわたることが多く、不動産登記のように専門的な知識も必要な手続きが多数あります。すべてを自分で行おうとはせず、手続によっては各専門家に依頼したほうがよいかもしれません。
自分で相続の手続き行うメリット
- 余計な費用がかからない。
- 特に遺産整理業務などは、金融機関でも行っている。一方、遺産総額に応じて費用が異なり最低費用も決まっているところが多く、支払う金額も大きい。
自分で相続の手続き行うデメリット
- 莫大な手間と時間がかかる。
- 手順がわからず、何度も同じところに繰り返し手続きに行く…ということが発生する可能性がある。
- インターネットで何でも調べられるが、「そもそも何をすればいいか?」というところから始まるので、相当な労力がかかる。
- やらなくてはいけないことの取捨選択もしなくてはいけないため、自分では完了しているつもりでも、漏れがある可能性がある。
自分で相続の手続き行う場合、気をつけるべきことは?
- 手続の数が多ければ多いほど、当然、それに取られる時間が増える。手続きのし忘れなども発生しやすい。時間と労力と忍耐力を覚悟する必要がある。
- 金融機関の手続きは「平日の15時まで」に行わなければならないため、仕事をしている方については、その時間を確保する必要がある。
- 相続人全員から実印の押印や、印鑑証明書を用意してもらったりすることの連絡や手配が必要。相続人の間でもめてしまっている場合は、話を進めることすら難しい場合もある。相続人たちの間に入り、調整する能力も必要になる。
- 家族が亡くなるということは、財産的な手続きだけではない
- むしろそれ以上に大事な、四十九日を始めとする供養などもある。どちらも時間的な制約があるため、それらを同時に進めていく器用さが必要。
- 期限がある手続きは、特に注意が必要。
自分で行う際は、「手続き期限」に要注意!
- 相続放棄、限定承認 ⇒ 3か月以内
- 準確定申告 ⇒4か月以内
- 相続税の申告納付⇒ 10か月以内
専門家に依頼する場合のメリット・デメリットは?
専門家に依頼する場合のメリット
手続きに不備が起きにくく、節税につなげるノウハウが利用できるなどメリットが多い。
専門家に依頼する場合のデメリット
相続税の申告は遺産の総額によって変わるが、費用は数十万程度かかる。土地建物の名義変更は8万円前後の手数料が必要となる。
専門家に支払う費用を節約して、税金を多く取られてしまっては、自分で手続をする意味がありません。
一度専門家に無料相談し、見積もりをとってみてはいかがでしょうか?
相続手続きを自分で行うと
- 相続の手続きを自分で行うと、余計な費用がかからない
- 相続の手続きを自分で行うと、莫大な手間と時間がかかる
- 専門家に相続の手続きを依頼すると、費用はかかるが不備が起きにくく、節税につながる可能性が高まる