コロナ影響下における「巣ごもり生活」をきっかけに家の整理や片付けをしたことで、記憶の彼方にあったモノ・コト(思い出)たちに懐かしさを感じ、今後の人生を考える機会を得たり、今までは腰の重かった「終活」「生前整理」を考え始めたという方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「後悔する前に親と確認しておきたいこと」「今からすぐにできて、相続税対策にとても有効な家族信託」をご紹介します。ご家族とともに終活を考える際の参考にしていただければ幸いです。

もしもの事態になる前に…相続で確認しておきたいことランキング

「もしも」は無慈悲ながらも、想像以上に急に訪れるもの。あとでいいか…で後悔する前に、今だからできることを進めておきましょう。

1位:財産を明確にしておく

細かい残高までは必要ありませんが、どの金融機関に口座を持っているかは明確にしておいた方がよいでしょう。

実際に相続手続をする際には各金融機関に出向く必要がありますので、どの銀行に口座があるかわからないと相続手続きができません。特にネット銀行などは通帳もありませんので、相続人が気付かないままということもあります。

2位:遺言書の有無を確認しておく

公正証書遺言であれば、公証役場に問い合わせをすれば、作成の有無はわかりますが、自筆証書遺言の場合、調査してくれる機関はありません(法務局による保管制度を利用している場合は除きます)。

苦労して相続人全員で遺産分割協議をしたにも関わらず、最後に遺言書が見つかってすべてやり直しというケースもありますので注意が必要です。

3位:生命保険の有無を確認しておく

生命保険契約をしていても、死亡したら自動的に保険金が支払われるわけではありません。
保険会社に請求をして初めて保険金が支払われます。どの保険会社に生命保険をかけているか、事前に知っておかないと請求ができません。

4位:株などの有価証券の有無を確認しておく

証券会社と取引をされている場合は比較的調べやすいですが、直接株を購入した場合や、親族が経営しているような非上場の株を持っている場合などは、調査が難しいものもあります。
有価証券も相続人が気付かずにそのまま放置されてしまうことも多いので、明確にしておく必要があります。

5位:持病や既往症を確認しておく

どういう持病があり、かかりつけの病院がどこなのか、またどういった薬を処方されているかなど、緊急時に確認されたときに速やかにこたえられるようにしておく必要があります。

6位:延命治療の要否を確認しておく

病気が末期になった時に延命治療を行ってほしいかどうか、ホスピスケアを受けたいかどうかなどを事前に話し合っておいた方がよいでしょう。「尊厳死の宣言書」(リビング・ウィル)を公正証書にて作成しておくこともお勧めします。

7位:葬儀やお墓のことを確認しておく

どこの葬儀社にお願いしたいか、どの程度の規模で行ってほしいか、どこのお墓に入りたいかなどを事前に確認しておきましょう。

葬儀社と生前契約をしているのであればその旨を伝えておかないと、親族が他の葬儀社を手配してしまうこともあります。また、昨今は「葬儀を行わず直接火葬してもらいたい」などの希望を持っている方も多いと思います。
希望がある場合は、事前に親族へ伝えておきましょう。

8位:万が一の時に連絡してほしい人を確認しておく

病気で倒れて危篤状態になった時点で連絡してほしい人、亡くなってしまった時に連絡してほしい人、葬儀が終わった後に連絡してほしい人など、状況に応じて連絡したい人をわけて、その連絡先を伝えておきましょう。

9位:債務の有無を確認しておく

ローンなどの借り入れがあるかどうかももちろんのこと、誰かの保証人になっているかを確認しておくことも必要です。

特に保証人になっているかどうかは、本人が亡くなった後ですと調べることが非常に困難です。保証人になっていなければ、「保証人にはなっていない」と伝えておきましょう。

10位:クレジットカードや各種会員カードの有無を確認しておく

こういったカードの中には、年会費等、継続的に費用が発生するものもあります。
本人の死亡後、手続きをとらないと、無駄な費用が発生してしまう場合もあります。速やかに手続きを取るために、事前に確認しておくこと、また不必要なカード類を解約して事前に整理しておくことも必要になります。

相続税対策にとても有効!家族信託のメリット・デメリット

家族信託のメリット

① 財産管理が委託者の判断能力に影響されない

認知症を発症してしまうと、程度にもよりますが、一般的には単独で預金を下ろすこと、不動産の売却などができません

成年後見人を選任すれば、後見人が本人に代わって対応できますが、必ずしも親族が後見人に選ばれるとは限らず、家庭裁判所の監督下に入れば、財産の運用・処分が制限されてしまいます。

家族信託は、認知症発症前に財産所有者本人と信託契約を結ぶため、その後の判断能力低下に関係なく、財産管理を続けることができます

② 委託者の思い通りに財産の承継等を決定できる

信託契約の中で、財産権を引き継がせる人を定めておくことができ、更に次の後継者だけではなく、次の次の後継者を定めることも可能です。(これは、遺言でも実現不可能なこととされています。)

家族信託のデメリット

(投資用不動産を2カ所以上持つ方が家族信託した場合)信託した不動産の損益通算ができない

信託した不動産において生じた損失は、租税特別措置法において「無かったもの」とみなされます
他の不動産の黒字から相殺できなくなるため、特に修繕等の必要がある不動産を信託する際は、十分に注意する必要があります。

受託者次第で信託財産を受託者自身のものとして扱うなどの危険性がある

家族信託は、受託者に監督人等をつけることは必須ではないため、契約作成時点で設計を誤ると受託者が恣(ほしいまま)に信託財産を扱うことができてしまいます。

そのため、受託者1人のみに任せると、信託財産を受託者自身のものとして扱う危険性があります。
受託者1人に任せるのではなく、受益者代理人や信託監督人などを信頼できる人や専門家に依頼することが重要です。

成年後見制度との違い

成年後見制度には下記のような負担や制約があるので、予め押さえておくことが重要です。

押さえるべき負担・制約

  1. 家庭裁判所(後見監督人が選任されている場合は後見監督人を含む)への定期的な報告義務の負担が重い
  2. 後見人や後見監督人が選任された場合の報酬の負担(管理財産額に応じ後見人で月額2~6万円程度、後見監督人がつくとさらに月額1~3万円程度)がずっと続く
  3. 成年後見人ができるのは、家族ではなく本人にとってメリットがあることに限られる

*例えば、これまで夫婦の年金収入を合わせて家計を切り盛りしていた場合でも、成年後見人が選任されると本人の通帳やカードは以後成年後見人が管理することになるので、本人の通帳から生活費を工面したいときでもいちいち成年後見人にお伺いを立てないとならなくなります。また、相続税対策なども本人のためではなく、相続人のためであると考えられるため基本的にはできなくなります。

終活と生前整理 - 家族で今すぐ確認しておきたいこと
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