遺産分割協議とは

遺言がない場合は、法律に定められた相続人が遺産を相続することになります。
遺産は相続人が複数の場合、全員の共同相続財産となります。 その共同で相続した相続財産を具体的に誰にどのように分けるかを話し合うのが「遺産分割協議」です。

※遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。 参加していない人がいるとその協議は無効になりますので注意しましょう。

遺産分割協義書の書き方

遺産分割協議書はモレがないように作成することが大切です!
不動産などの名義変更や、相続税申告、預貯金の名義変更にも必要となってくる遺産分割協議書の書き方について。

用紙紙の大きさに制限はありません。
押印
  • 遺産分割協議書が数ページになるときは、相続人全員の契印が必要です。
  • 少しの記入ミスでも訂正を求めますので、できれば捨印があった方がいいでしょう。
不動産の表示「不動産の表示」の記載は、登記簿(登記記録)に記載されているとおりに記載しましょう。
日付遺産分割協議書の相続人が署名、押印した日付は、実際、遺産分割の協議をした日か、あるいは、最後に署名した人が、署名した日付を記入するようにしましょう。
相続人の住所・氏名相続人本人に署名してもらう事が好ましいです。印鑑証明書に記載されているとおりに記入することをおすすめしています。

遺産分割協義書のサンプル

遺産分割協議書は、民法上、作成義務はありませんが、不動産などの名義変更や相続税申告の際や預貯金の名義変更にも必要となってきます。 遺産分割協議書の書式については特に決まりはありませんので、手書きでもワープロ書きでも、縦書きでも横書きでもいいですが、誰がどの遺産を取得するかを、具体的に記載する必要があります。

遺産分割協議書のサンプルを掲載していますので、ぜひご参考ください。

遺産分割協義書の注意点

遺産分割協議は、全員の話し合いと、押印がないと無効になります!
遺産分割協議は、全員の話し合いと、押印がないと無効になってしまいますので、注意点をしっかり確認して作成する事が大切です。

協議は法定相続人全員で行わなければなりません!
遺産分割協議は法定相続人全員で行わなければ効力がありませんので戸籍調査の上、間違いの無いように注意してください。

法定相続人全員が署名・実印の押印をすること
紛争・トラブルを防ぐためにも署名するようにしてください。不動産登記や銀行手続をおこなうためにも印鑑は実印を使うようにしましょう。

財産の表示方法にも注意が必要です!
不動産の場合、住所ではなく登記簿どおりの表記にしてください。 銀行等は、支店名・口座番号まで書いてください。

契印が必要となります!
遺産分割協議書が用紙数枚にわたる場合、法定相続人全員の実印で契印してください。 遺産分割協議書には、実印の押印が必要ですが、それと共に印鑑証明書も添付してください。

遺産分割の調停審判

相続人の家庭の事情や、亡くなった人との親密感などで、必ずしも話し合いがスムーズにいくとは限りません。

遺産を分割する場合は、まず、相続人全員の遺産分割協議によって、解決するのが原則となっています。ただ、1人でも協議に同意できない人がいるときは、家庭裁判所に「遺産分割調停申立書」を提出して、調停で解決することになります。

この調停というのは、家庭裁判所の調停委員が、相続人同士の意見や主張を聞きながら、うまく合意できるように進める制度です。調停委員は、亡くなった人への貢献度、職業や年令などを総合的に判断して、相続人各人が納得できるよう、話し合いを進めます。

しかし、この話し合いでも合意ができないときは、「遺産分割審判申立書」を提出して、家庭裁判所の審判で結論を出すことになります。
下された家庭裁判所の審判には、強制力があり合意できない場合も、これに従わなければなりません。

遺産分割協議の相談事例

異母兄弟がいることがわかったケース

ご依頼背景

父Aさんは、娘Bさんと2人で暮らしていました(母Cさんとは離婚)。あるとき、父Aさんが脳溢血で急死し、相続が開始しました。Bさんはお父さんの過去の戸籍をさかのぼって収集したところ、なんと父AさんにはCさん以外の方(Zさん)との婚姻歴があり、その方との間にお子様(いわゆる異母兄弟)が3人いることがわかりました。全く面識のない兄弟と相続の話をしなくてはならなくなり、どうしていいのかわからなくなったBさんからご相談をいただきました。

花沢事務所の対応内容

遺言がない場合、遺産を分割するには、相続人全員による遺産分割協議(全員の同意)が必要となります。
異母兄弟の方々も相続人になりますが、疎遠になっている相続人にいきなり遺産分割協議書を送付すると、トラブルのもとになりかねません。異母兄弟の方々とは面識が無いということで、まずは当事務所から手紙を出し、先方から連絡をいただき、さまざまなご説明とBさんの希望を伝え、先方のご意見をお聞きしました。

その結果、相続人全員からスムーズな同意を得ることができ、1か月半という短い期間で預金口座の解約手続きを終えることができました。

相続人の行方が知れないケース

ご依頼背景

資産家である父Aさんが亡くなり、お子様であるBさんとCさんが相続することになりました。ところが、Bさんは5年ほど前に「海外に行く」と言った後に消息を絶ち、音信不通となっていました。今後Bさんと連絡をとることは困難と考えられたため、Cさんはご自身で相続の手続を進めていらっしゃいました。
しかし、銀行に預金の解約の手続に行ったところ、戸籍上生存し、相続人であるBさんの署名・押印や印鑑証明書が必要になり、困ったCさんから相談を受けました。

花沢事務所の対応内容

さまざまな書類の取寄せや調査をしても、Bさんの所在が確認できなかったため、当事務所で「不在者財産管理人選任の申立」を家庭裁判所へ行いました。不在者財産管理人は長男さんがあらわれるまで、長男さんの財産を管理していくという仕事なので、次男さんが不在者財産管理人になりました。不在者財産管理人は長男さんに代わって遺産分割協議をしなければなりません。

しかし、今回は、同じ相続人である次男さんが不在者財産管理人になったので、不在者財産管理人に代わって遺産分割協議をする特別代理人の選任の申立を裁判所にして特別代理人を選任してもらい、遺産分割協議を行うことができました。

相続人が行方不明であったり音信不通であるなど、特殊な事情がある時には、裁判所への申立などを含め、その状況にあった手続きを行うことが可能です。少しでも難しいことがあれば、早めに専門家へ依頼することをお勧めします。

養子縁組の解消をしていなかったケース

ご依頼背景

母(Aさん)は数年前に娘(Cさん)を連れて離婚しました。その後母Aさんが亡くなり、母Aさん名義の不動産と預貯金がのこりました。 Cさんが、相続人を確定させるべく戸籍を収集していたところ、母Aさんは前夫Bさんとの結婚の際に、Bさんの連れ子であったDさんと養子縁組をしていましたが、Bさんとの離婚届を出す時に、Dさんとの離縁(養子縁組解消)の届出をしていませんでした。

花沢事務所の対応内容

今回の場合、母Aさんの実子である娘Cさんとお父さんの前妻との間の腹違いの兄弟であるDさんもお母さんの養子として、相続人となってしまいます。なお、2人の法定相続分は2分の1ずつです。Aさんには遺言書もありませんでしたので、CさんとDさんの二人で遺産分割協議をする必要があります。
Cさんは全ての財産を自分が相続できると思っていましたが、結局、今住んでいる不動産をCさんが、預貯金ほとんどをDさんが相続することでどうにか遺産分割協議が調いました。

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